PS4PROの4Kは疑似4K?

せっかくPlayStation 4 Proを手に入れたので「無印PS4とどこが違うのか」に興味が出て調べていたんですが。違いの1つである「4K映像出力」について、よく見かけたのが、PS4PROの4K出力は「疑似4Kでありネイティブな4Kではない」という類の否定的なコメント。んじゃ「ネイティブ4K」って何? とちょっと疑問に感じたのでエントリ。
ということで「ネイティブ4K」が何を指しているのか調べてみたんですが、まとめれば「フルHDの『4倍の計算量』で描かれるフルHDの4倍の画素数の映像」のことのようです。ここで重要なのは『4倍の計算量』の部分。ただの「フルHDの4倍の画素数の映像」は「ネイティブ4K」じゃないらしいです。何故って、それはPS4PROの4K出力が「フルHDの『2倍の計算量』で描かれるフルHDの4倍の画素数の映像」だから。なのに「ネイティブ」ではないからです。いちエンジニアとして言わせてもらえれば、より少ない計算量でそれに匹敵するくらい美しい映像が描かれるなら、そのほうが優秀だと思うんですが、この概念では単純に計算量が多いほうが偉いらしいです。なんだかなぁ……。
仕組みについては4Gamer西川善司の3DGE:知られざるPS4 Proの秘密(2)明らかになった「4Kレンダリングのレシピ」が詳しいですが、PS4PROの4K出力はアルゴリズムの工夫により、本来4倍の計算量が必要なはずの4K出力をPS4PROの性能(CPU1.3倍/GPU2.3倍)の範囲に落とし込んでいるだけで、「疑似4K」の言葉から想像されるほど酷いものではなさそう。ちなみに、わりと多かった誤解が「単純なアップスケーリングだ」というもの。実際、2716×1528(縦横√2倍=画素数2倍)などでレンダリングして4Kにアップスケーリングしているもの(それでもフルHDの単純なアップスケーリングよりはずっと綺麗なようですが)もあるようですが、先に書いたとおり、基本的に出力される映像はアップスケーリングされていない4Kの830万画素で、違いは比較しても判るかどうか微妙なくらいの画質劣化と1/2の計算量です。
こう書くと贔屓が過ぎるかなとも思いますが、「ネイティブ4K」は「PS4PROの2倍の計算を行っていながらクオリティは2倍に届いてない」のですから、個人的にはあまりありがたみを感じられません。逆に「PS4PRO(の疑似4K)すげぇ」とは思いますけど。まだ実映像を見れていないのですが、私は4Kモニタ(もしくは4KのTV)の新規購入を検討するくらいにはPS4PROには期待しています。まあ、お金がないので結局買えないまま2Kのモニタで過ごすことになりそうですが(苦笑)。
蛇足。PS4PROのアップスケーリングは、ハードウェア実装のスケーラで行われていて、レイテンシ(遅延)ゼロでかなりのクオリティの映像が出力できるそうです。これも前述の4Gamerの記事に載っていますが、なんでも画面の1画素あたり周囲の60画素の値を参照してスケーリングを行っているとか。先の例の縦横√2倍の画素のアップスケーリングであったとしても、想像できる以上の映像になっているようです。このハードウェアスケーラのお陰で、PS4PRO非対応のソフトを4Kモニタに出力した場合でも無印PS4より繊細な映像が出力されたり、内部的にフルHD未満でレンダリングしている無印PS4向けソフトをフルHDモニタに出力する場合であっても同様だったり、色々あるらしいので、予算に余裕があるならPS4PROを検討する価値くらいはあるんじゃないかなと。